蓄積した技術ノウハウを活かし、更なる価値創造を目指す、株式会社三東工業社 総務部 部長の林 宏氏に話を伺った。 株式会社三東工業社 栗東本社 環境に配慮した新技術の開発 ─―オープンイノベーションの取組を始められた経緯や始められる前に感じられていた課題について教えてください。 林:オープンイノベーションへの取組を始めたきっかけは、社内だけでは新規事業開発のスピードが遅いこと、アイディア創出の限界を感じていたことです。また、行政の協力のもと地域全体でオープンイノベーションを推進することになり、2020年より取組を始めました。オープンイノベーションを始める前に感じていた課題としては、新規事業開発のスピード感、アイディアの限界、外部連携の必要性です。 ─―行政の協力を得てオープンイノベーションに取り組むようになったところから、どのようにオープンイノベーションの目的を設定されましたか。目的の達成状況と合わせて教えてください。 林:目的は「新技術開発」を設定しています。理由としては、本業である建設業を芯としながらも建設業以外でも収益を上げられる様にするためです。SDGsに取り組んでいることから環境へ配慮した技術の確立を目指すこととしました。 ─―SDGsにも取り組まれているのは素晴らしいですね。もし、オープンイノベーションを実施していなかったらどうなっていたかと思いますか。 林:自社単体で取り組んでいた場合、必ずアイディア創出に限界を感じていたと思います。また、情報収集もやはり単体では難しく社会変化に適応できなくなっていたのではないでしょうか。 協力会社のフィールドを活用して、新しい連携相手と結びつく ─―続いて各ステージにおける具体的な取組についてお伺いできればと存じます。まず、事業アイディアの棚卸・ビジネスモデル検討における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。 林:事業アイディアは他府県で実施された事例を参考に、協力会社とビジネスモデルを協議しています。 課題としては、事業アイディアは他府県で実施された事例を参考に進めていますが、どの様に水平展開が出来るかが課題です。CLT(直交集成板)事業では弊社の信楽本店、TCCセラピーパーク(滋賀県栗東市)の馬房を建築し、2022年6月に開催された全国植樹祭の「お野立所」を建てましたが、CLT材の製作費用が高く利益が出にくいですね。 ─―利益まで出すのは中々難しいですよね。課題解決のために取り組まれていることがあれば教えてください。 林:コンサル会社などの協力会社のノウハウで対応可能かを協議しています。 ─―続いて、連携相手の探索における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。 林:協力会社のフィールドを活用して、新しい連携相手と結びつくこともあります。また、具体的な探索方法として、社内ネットワークの活用、担当者が個別にスタートアップとコネクションを作る取組をしています。 課題としては、協力会社をどこにするかの情報が不足しており、連携からプロジェクトスタートまでに時間がかかってしまうことです。スタートアップと大手企業のプロジェクトのスピード感の差が課題と感じています。 ─―では課題解決のために取り組まれていることがあれば教えてください。 林:コンサル会社を含め協力会社のノウハウで対応可能かを協議しているところです。 第72回全国植樹祭お野立所 ─―続いて、情報交換・協業における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。 林:なるべく早い段階で秘密保持契約を結び、互いが持つ技術や取引情報、財務状況等の確認を行っています。 課題としては、秘密保持契約締結において、協力会社との間の必要書類の作成に時間がかかることです。 こうした課題の解決のために、なるべく早い段階で秘密保持契約を結び、互いが持つ技術や取引情報、財務状況等の確認を行っています。 ─―続いて、PoC・研究開発における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。 林:実事業予想シミュレーションにより、開発する事業が社会にどう影響するのか、求められているものかを確認しています。 ─―事前のシミュレーションを大切にしているのですね。続いて、事業化における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。 林:運用開始までの道筋をどう設定するかを協力会社と協議しています。 課題としては、CLT事業に於いて、営業担当職員以外の職員が製品に対する知識が低かったり、関心がなかったりすることです。 こうした課題の解決のために、CLT事業では全職員が一通りの説明が出来る様に教育をしています。名刺の裏に当社保有7工法を記載しているので、全ての工法の概要を説明出来る様に社内教育を実施しました。 NDA締結の時間短縮に努める ─―PoC・研究開発のスピードを加速するためには、助け合いの文化や部署の枠を超えた交流が重要という分析結果が出ておりますが、御社においてそうした内容で何か特別な工夫をされていましたら教えてください。 林:協力会社との間に於けるNDA締結に要する時間短縮に努めています。また培ったノウハウで対応可能かを遂次協議してすることで、スピードアップを図っています。 ─―連携スピードを下げないようすることがポイントなのですね。また、スタートアップと協業を行う上で、スピードを落とさないための工夫やスタートアップの調査を活かすための配慮などあれば教えてください。 林:これまでスタートアップとの協業はなく、今後も予定はしていません。 ─―最後に行政に対する意見や要望がありましたら教えてください。 林:各種申請手続きの簡素化と迅速化をお願いしたいです。 取材対象プロフィール 株式会社三東工業社 総務部 部長林 宏氏 インタビュー実施日:2022年11月29日
蓄積した技術ノウハウを活かし、更なる価値創造を目指す、株式会社三東工業社 総務部 部長の林 宏氏に話を伺った。
株式会社三東工業社 栗東本社
環境に配慮した新技術の開発
─―オープンイノベーションの取組を始められた経緯や始められる前に感じられていた課題について教えてください。
林:オープンイノベーションへの取組を始めたきっかけは、社内だけでは新規事業開発のスピードが遅いこと、アイディア創出の限界を感じていたことです。また、行政の協力のもと地域全体でオープンイノベーションを推進することになり、2020年より取組を始めました。オープンイノベーションを始める前に感じていた課題としては、新規事業開発のスピード感、アイディアの限界、外部連携の必要性です。
─―行政の協力を得てオープンイノベーションに取り組むようになったところから、どのようにオープンイノベーションの目的を設定されましたか。目的の達成状況と合わせて教えてください。
林:目的は「新技術開発」を設定しています。理由としては、本業である建設業を芯としながらも建設業以外でも収益を上げられる様にするためです。SDGsに取り組んでいることから環境へ配慮した技術の確立を目指すこととしました。
─―SDGsにも取り組まれているのは素晴らしいですね。もし、オープンイノベーションを実施していなかったらどうなっていたかと思いますか。
林:自社単体で取り組んでいた場合、必ずアイディア創出に限界を感じていたと思います。また、情報収集もやはり単体では難しく社会変化に適応できなくなっていたのではないでしょうか。
協力会社のフィールドを活用して、新しい連携相手と結びつく
─―続いて各ステージにおける具体的な取組についてお伺いできればと存じます。まず、事業アイディアの棚卸・ビジネスモデル検討における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。
林:事業アイディアは他府県で実施された事例を参考に、協力会社とビジネスモデルを協議しています。
課題としては、事業アイディアは他府県で実施された事例を参考に進めていますが、どの様に水平展開が出来るかが課題です。CLT(直交集成板)事業では弊社の信楽本店、TCCセラピーパーク(滋賀県栗東市)の馬房を建築し、2022年6月に開催された全国植樹祭の「お野立所」を建てましたが、CLT材の製作費用が高く利益が出にくいですね。
─―利益まで出すのは中々難しいですよね。課題解決のために取り組まれていることがあれば教えてください。
林:コンサル会社などの協力会社のノウハウで対応可能かを協議しています。
─―続いて、連携相手の探索における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。
林:協力会社のフィールドを活用して、新しい連携相手と結びつくこともあります。また、具体的な探索方法として、社内ネットワークの活用、担当者が個別にスタートアップとコネクションを作る取組をしています。
課題としては、協力会社をどこにするかの情報が不足しており、連携からプロジェクトスタートまでに時間がかかってしまうことです。スタートアップと大手企業のプロジェクトのスピード感の差が課題と感じています。
─―では課題解決のために取り組まれていることがあれば教えてください。
林:コンサル会社を含め協力会社のノウハウで対応可能かを協議しているところです。
第72回全国植樹祭お野立所
─―続いて、情報交換・協業における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。
林:なるべく早い段階で秘密保持契約を結び、互いが持つ技術や取引情報、財務状況等の確認を行っています。
課題としては、秘密保持契約締結において、協力会社との間の必要書類の作成に時間がかかることです。
こうした課題の解決のために、なるべく早い段階で秘密保持契約を結び、互いが持つ技術や取引情報、財務状況等の確認を行っています。
─―続いて、PoC・研究開発における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。
林:実事業予想シミュレーションにより、開発する事業が社会にどう影響するのか、求められているものかを確認しています。
─―事前のシミュレーションを大切にしているのですね。続いて、事業化における具体的な取組内容や発生した課題などについて教えてください。
林:運用開始までの道筋をどう設定するかを協力会社と協議しています。
課題としては、CLT事業に於いて、営業担当職員以外の職員が製品に対する知識が低かったり、関心がなかったりすることです。
こうした課題の解決のために、CLT事業では全職員が一通りの説明が出来る様に教育をしています。名刺の裏に当社保有7工法を記載しているので、全ての工法の概要を説明出来る様に社内教育を実施しました。
NDA締結の時間短縮に努める
─―PoC・研究開発のスピードを加速するためには、助け合いの文化や部署の枠を超えた交流が重要という分析結果が出ておりますが、御社においてそうした内容で何か特別な工夫をされていましたら教えてください。
林:協力会社との間に於けるNDA締結に要する時間短縮に努めています。また培ったノウハウで対応可能かを遂次協議してすることで、スピードアップを図っています。
─―連携スピードを下げないようすることがポイントなのですね。また、スタートアップと協業を行う上で、スピードを落とさないための工夫やスタートアップの調査を活かすための配慮などあれば教えてください。
林:これまでスタートアップとの協業はなく、今後も予定はしていません。
─―最後に行政に対する意見や要望がありましたら教えてください。
林:各種申請手続きの簡素化と迅速化をお願いしたいです。
取材対象プロフィール
株式会社三東工業社 総務部 部長
林 宏氏